2008年時グルジア軍国家警備隊 装備バイブル
今回は装備講座的な記事をおこそうかと思います。
グルジア装備ですが、よく勘違いされているようにアメリカ製はほとんど使っていません。
といってもグルジア軍が実際に使っている装具は日本国内の流通はほとんどないので、私的にグルジアが実際に使っている物に似てる、代用できる物を紹介しつつ着こなしについて書いていこうかと思います。
今回のテーマは国家警備隊(National Guard)です。
当時のグルジア軍は4軍制で、陸軍海軍空軍と、この国家警備隊で編成されていました。
訳によっては国家親衛隊だったりしますが、一般的にはグルジアの場合は国家警備隊と訳される場合がメジャーですね。
逆にウクライナ国家親衛隊も英語におこしちゃえば同じNational Guardだったりします。
さて2008年時の国家警備隊ですが、南オセチアには投入されず、主にグルジア国内に展開しロシア軍の侵攻に備えていました。
実際にはほとんど交戦せずに敗走してきた陸軍部隊と共に後退してしまったので、人的被害等はほとんど出ていません。
陸軍予備役部隊に比べてもかなーり貧弱な国家警備隊がロシア軍と衝突してしまったらひとたまりもない事になったでしょう…
さて、国家警備隊の編成や歴史についても触れたい所ですが、話が長く、ややこしくなるので今回は割愛させていただいて別の機会に記事に起こしたいと思います。
国家警備隊は郷土防衛部隊的な2級線部隊になるので装備は劣悪です。
逆に装備再現的には陸軍に比べればかなり再現しやすくはあります。
・スチールヘルメット
・野戦服
・LC2ベルト(マガジンポーチ、1QTキャンティーン各1個)
・ブーツ
が基本系になります。
スチールヘルメットはほぼSsh68に統一されています。
09年頃からケブラーヘルメットも支給されたようですが、08年の段階ではSsh68、マイノリティな例として西ドイツ製M1ヘルメットが使用されていました。
まぁ特別なこだわりがない限りはSsh68を使うのがいいかと思います。
ケブラーヘルメットと違いSsh68は大量に在庫があったようなので、M1の使用例は本当に限られています。
着装のポイントとしては略帽の上から被る兵士がとても多いです。
素でSsh68被るとエラく安定しないので、安定させる目的もあるのではないでしょうか。
ちなみにヘルメットの下に略帽はケブラーヘルメットを着用する陸軍兵士でも多いです。
一方で現在は規定的にNGになったのか、まったく見かけなくなりました。
野戦服は、この時代は主に中国から輸入されたアメリカ海兵隊のマーパットをコピーした迷彩服が使われています。
同じく中国製らしい微妙な色合いのウッドランドも使われていますが、今回は”グルジアらしい”マーパットに絞ってご紹介。
色合いが若干グルジアの物の方が濃く、裁断が異なっています。
大きく分けてグルジアマーパット(仮称)はACU裁断のものとMCCUUを模した裁断の2種類がありますが、陸軍では前者、国家警備隊では後者が主に使われています。
もちろん陸軍も前者を使う事はありますが、国家警備隊では前者が使われる例はほとんど見たことがありません。
おそらくACU型が新式だったのでしょう。
野戦服のパッチの取り付け例ですが、陸軍とは若干違います。
陸軍が襟章に階級章、兵科章、腕に国章、旅団章、大隊章をつけるのに対して国家警備隊では襟章は省略する場合が多く、腕には国章と国家警備隊章しかつけません。
上の写真の場合だと奥のフレクターメットカバーを着用している兵士は襟章をつけていますが、手前の兵士はつけていません。
国章は下にパッチを取り付ける必要がないので、腕ポケットフラップではなく、腕ポケット中央に国章が45℃斜めに取り付けられます。
なぜ斜めにつけるかというと、ちょうど着用すると地面に水平になるようになってるからですね。
次にアーマーを着用しない場合が多いのでブレストパッチは必須です。
国家警備隊の場合は左胸にNATIONAL GUARD章、右胸にネームテープになります。
...なんですが、アベコベの兵士もいます。
まぁ陸軍とは違って国家警備隊ですので、そこらへんはあまり厳しくないのでしょう。
余談ですが、グルジアではネームテープには苗字、つまりラストネームを書きます。
例えばミハエル・サーカシヴィリならサーカシヴィリの部分ですね。
再現するにあたって、オリジナルの野戦服(例として上記写真)を使うのが一番いいとは思うのですが、代用ならば裁断的にアメリカ海兵隊、Tru Spec製MCCUUなどを使うのがいいかと思います。
どちらも色合い的にはかなり異なりますし裁断が異なっている部分も多いのですが、写真写り自体はあまり変わりませんので裁断を合わせる方が個人的にはいいかと思っています。
Tru Spec製MCCUUはたしかMARINE刺繍が入ってない…?ような記憶があるので、後者の方がよりよいでしょうか?
パッチの取り付けはベルクロが基本です。
ただ後付け加工の野戦服も多いので正方形のODベルクロも有りですし、黒やODのベルクロをパッチ型に加工して取り付けるのも有りです。
パッチがない場合は陸軍だと前線部隊はパッチを取り外しベルクロを露出させているスタイルがあるので、パッチ型のベルクロだけ貼るのもいいかもしれません。
ただグルジアらしさを出す以上、最低でも国章はつけた方がイイとは思いますが...
野戦服のパンツはソ連の2穴ベルトを使うのがいいかと思います。
グルジア軍はシャツインはしないので何使っても分からないっちゃあ分からないんですが、ヒョンとした時にチラ見せする茶2穴はかなり魅力的ですので個人的には強くおススメです。
そんな珍しい物じゃないですしね。是非とも使っていただきたい。
これは国家警備隊に限らず、内務省や陸軍でもそれが望ましいですね。
ちょっとしたソ連アイテムです。
次は腰回りですが、基本スタイルは上記のとおりLC2AベルトにAK7.62mmマガジン用ポーチx1、LC2 1QTキャンティーンx1です。
これにトレンチングツールをつける場合もありますが、ほとんどの兵士は2つのポーチしかぶら下げません。
ピストルベルトをサスペンダーで吊るさないので重すぎるのが敬遠されたからではないでしょうか。
LC2Aはグルジア独自の物でバックルが角張っていて、色味がややグレーっぽくなっています。
代用はアメリカ製LC2Aを使っちゃってもいいと思います。
並べた写真だと結構違いますが、実際に着用してたら案外分からないので。
ただUS印は出来るだけ削るのが望ましいですね。
さて1QTキャンティーンもグルジア向けの物なので、US印がない物を選べばいいかと思います。
ODとマーパットのモデルがありますが、後者の使用例はそんなに多くないので前者がいいと思います。
グルジアのモデルはキャンティーンカップも付随するので、出来ればそちらの方が望ましいかと。
AKポーチは陸軍とは違いAKMやAKMSが主体なのでAK74用ポーチではなくAK47/AKM用ポーチが使われています。
LC2Aベルトにループ、兵士によってはズボンの2穴ベルトにループさせます。
基本的には前者が多いでしょうか?たぶんソ連製だと個体差では通らないので少し加工が必要だとは思います。
ポーチ配置は右だったり、左だったりハッチャカメッチャカですので自分の使いやすく利き腕に合わせた配置で大丈夫です。
当時のグルジア軍では利き腕矯正もなされていなかったようですしね…
ブーツは黒のオールレザーブーツを使っています。
陸軍ではデザートブーツの使用例も多いですが、国家警備隊は海外派遣経験(イラクとか)はありませんので、デザートブーツの使用例はありません。
オールレザーなのが特徴なのでロスコのジャングルブーツなどの代用は足元の雰囲気がかなり変わるのでおススメしません。
グルジア軍のモデルはトルコ製でGEORGIAN ARMY刻印こそありますが、形はアメリカ製のコピーですので、アメリカ製を入手すればいいかと思います。
ただ国内流通がかなり減っていて、かつサイズもかなり限定的な物になってるので海外輸入に頼るのが手っ取り早いでしょうか…
最後の小火器ですが、陸軍が同紛争でAK74、内務省が5.56㎜小銃、AK74を使っていたのに対して国家警備隊では現在まで7.62㎜弾を使うAKM、AKMSが使われています。
M4はもちろんAK74も使われていません。
さて、これで08年南オセチア紛争時に展開した国家警備隊の装備再現としては良い線いくのではないでしょうか?
代用品も細かい点に目をつぶれば写真写りに問題ない物が手に入ります。
ただ今回は年代を絞って解説したので、年代を広げたり、展開場所を広げたり(今回参考に使った写真はゴリ展開部隊がほとんど)すると国家警備隊の装備パターンも膨大になります。
また次回以降は年代別にさらに解説や、陸軍部隊の装備バイブルみたいな記事もおこしていこうかと重いので、参考になれば幸いです。
最後に例として2014年時の国家警備隊(上)と2009年の国家警備隊(下)です。
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